「競争」はイノベーションを殺す
世の中では、競争は良いことだと言われている。
だから受験競争、就職競争、開発競争、出世競争など、世の中は競争で溢れている。
それは市場においても同じで、1つの市場で複数の企業が戦うことはよくある話だ。
競争は新しい競争を生み、競争によってプロダクトは洗練され、イノベーションが起きると信じられている。
でも残念ながら、それはインプットおばけ👻だ。(最近多いな…) i-takakix.hatenablog.com
イノベーションは、競争がないから生まれるんだ。
さっきの👻は、学校と市場の競争を区別できていない。
競争で投資しなければならないリソースの違いに、気づいていないんだ。
学校での競争は、スコアを争うものだ。
より多くのスコアを取るには、より多くの時間を勉強に投資すればいい。
そしてどんな人でも、1日に投資できるのは24時間までと決まっている。
だから、1000時間の投資家が現れない限り、大きく引き離されることはないため、競争が成立する。
もうお分かりだろう。
一方、市場での競争は、シェアを奪い合うものだ。
シェアを奪うには、強力なプロダクトが必要だ。
だから、強力なプロダクトを作るために、他社より多くの時間と金、人を投資する必要がある。
これらの投資リソースには上限があるようでない。
誤解して欲しくないのは「多くのリソースを投資すれば強力なプロダクトができる」、ということではない。
これは競争心理によって、「投資する必要がある」と錯覚してるだけだ。
そして競争に参加してしまった以上、勝たなければ意味がない。
だから勝者が決まるまで、投資し続けなければならなくなる。
他社が持つリソースのリミットレートがわからない限り、続けなければならない。
その結果「どれだけ多く投資するか」という競争に持ち込まれ、勝者も敗者も疲れていく。
この時、もはや彼らは勝つことしか頭にない、イノベーションを起こす体力も気力も残ってはいない。
そして競争に決着がつくと、最後の追い討ちが待っている。
勝者は、苦労して手に入れた勝利が投資に見合ったリターンだと錯覚する。
敗者も、次は絶対に勝利しようと、より多くの投資ができるよう準備する。
そして、懲りずにまた競争する。
競争による競争が、ますます競争を美化する。ますます競争することが当たり前になっていく。
これが、学校と市場の競争を区別できない企業の末路だ。
市場で最も重要なことは独占だ。
市場に唯一君臨する、ラストムーバーになることだ。
競争が起きない、理不尽なほど圧倒的な勝利こそ本物なんだ。
本物の勝利を得ている企業だけが、イノベーションを起こす可能性を秘めている。
競争によって、追い詰められることでイノベーションが起きるというのは幻想だ。
独占することで、勝者はプロダクトを洗練することだけに集中できるんだ。
イノベーションを起こすのに十分なリソースを投資できるんだ。
だから、競争を求めてはいけない。
「いかに独占するか」「いかにラストムーバーになるか」ということだけを考えるんだ。
競争はイノベーションを殺す。
サムネイル画像引用元:http://hatrabbits.com/5-ways-to-kill-innovation/